○魔神 天神系

大日如来
 密教の最高本尊。別名を大毘盧舎那仏と言い、サンスクリット語での原名はマハーヴィローシャナ(Maha Vairocana)、「偉大なる光明者」の意である。
 密教において大日如来は宇宙そのものであり、同時に1粒の微塵の中にも存在するものとされ、胎蔵界・金剛界の両曼荼羅の中心に描かれる。ちなみに奈良の大仏はこの仏の像である。
 元々はヒンドゥーにおけるアスラ王の一人でディーヴァ神族の敵であるが、その起源はゾロアスターの光明神アフラマズダーと同一と推察される。

バールハダド
 カナーンの暴風神。ハダド(Hadad)は「痛打するもの」の意。バール(Baal)は「主」の意であり、この地方の神々に冠せられる称号である。
 カナーンのアラム人たちから主神として崇められていた。豊穣神や狩猟神としての側面も持っていたらしい。
 いわゆるバールと称されるフェニキアの主神と同一との疑いが強く、その起源はシュメールの同じく暴風神であるアダドではないかと推察されている。

マルドゥーク
 バビロニアの主神。マルドゥーク(Marduk)は「太陽の雄の仔牛」の意。太陽神、暴風神、豊穣神等様々な属性を持つ。「50の名を持つもの」とされ、様々な別名を持つ。シュメールの大気の神エンリルとは同一視される。
 知恵の神エアの息子であり、龍神ティアマトを倒して世界と人類を創造し、バビロニアの神々の指導者となった。サルパニトすなわち「輝くもの」という名の女神を妻に持つ。この女神は神格化された金星である。サルパニトの原形はイシュタルと考えられるがこの点ははっきりしない。
 元々はバビロン市土着の神だったらしい。この神は「主」(Beel)という意味の称号をつけてベル・マルドゥークと呼ばれ、これがバール神およびバールの称号を持つ神々の原形となったと考えられている。この称号はマルドゥーク以前に神々の主神であった天空神アヌが所持していた。ベルの名自体はシュメールの天候神エンリルに由来するもので、元々は独立した神格だったものがいつしか同一視されて主神の称号になったらしい。

ルー LIGHT-NEUTRAL
 ケルトの光明神。その名Lug(Lugd、Lud等とも)はそのまま「光り輝く者」を意味する。イルダーナフ、ドル・ドナ(ともに「全能者」の意)といった別名を持つ。
医神ディアン・ケヒトの息子キュアンとフォーモール族の王、邪眼のバロールの娘エスリンのあいだに産まれる。多芸な神であり、ブリューナク、アンスウェラーといった様々な秘宝を携えている。英雄クー・フーリンの父でもある。
 フォーモール族との戦いで祖父のバロールを打ち倒し、戦いで倒れたヌァザに代ってダーナ神族の王となる。
 古い時代においては豊穣神だったらしい。古くはダグザの息子とされていたようである。バビロニアの聖王の称号Lugalとの名前の類似からバビロニア起源を唱える説もあるが信憑性に乏しい。

アモン
 ソロモン王に封じられた72柱のデーモンの一人。”炎の公爵”の称号を冠する。AmonあるいはAmen、Aamonなど多くの綴り方が存在し、そのためアメンあるいはアンモン等とも呼ばれる。
 元々はエジプト神である。その名の原義は「隠されたるもの」で、真の名ははっきりしていない。元来はテーベ土着の天空神だったらしいが、後に海神としての性格を持つようになり、豊穣神ミンと同一化してアモン・ミン、さらには太陽神ラーと同一化してアモン・ラー(アメン・ラー)となりエジプトの最高神となった。ヘレニズム・ローマ時代にはゼウス/ユピテルと同一視されている。
 悪魔としてのアモンはヘビの尾を持つ狼、あるいは鴉またはフクロウの頭をした人間の姿で現れるとされ、過去や未来を透視し、恋愛の秘技に通じているとされる。”富の大公”マンモンとはしばしば同一視される。余談だが永井豪『デビルマン』において主人公不動明と合体したデーモンもこのアモンである。

カーマ LIGHT-NEUTRAL
 ヒンドゥーの愛欲神。その名カーマ(Kama)はそのまま「愛欲」の意を持つ。妻の名はラティ(「快楽」の意)。「燃え上がらせる者」ディーパカ、「幻惑するもの」マーイー、等と言った多数の別名をもつ。
 苦行中のシヴァに対しパールヴァティへの恋情を掻き立てさせたため、シヴァによって焼き殺されて実体を失ったとされる。
 カーマは宇宙創造と同時に生まれた古き神であるが、後代にはダルマの子とされたり、マーラと結びつけられて魔族の一員とされたりもした。