○破壊神 鬼神系

カルキ
 ヒンドゥーの三大神ヴィシュヌの第十化身。カルキ Kalki(白馬の意)の名の通り白馬に乗った騎士の姿で現れるとされる。
 カリ・ユガ紀の末期にあらわれ、堕落しきった世界を破壊してサトヤ・ユガ紀を導くとされている。破壊神であると同時に救世主としての側面を持つ。
 おそらくヴィシュヌがヒンドゥーの有力神になった後に終末思想を受けて形成された神格であると推察される。マイトレーヤ(弥勒菩薩)や黙示録の騎士と何かしら関りがあることも考えられよう。

スサノオ
 素戔鳴尊(すさのおのみこと)。日本の暴風神。同時に冥界神であり航海神や農業神としての側面も持つ。
 アマテラスの弟神でイザナギ神が根の国(冥府)から逃れてきて沐浴した際に生まれた三貴士の一人。スサノオはイザナギの鼻から生まれたとされる。アマテラスと同じく古い時代にはイザナギを父としてとイザナミから生まれたとされていた。父神イザナミから海を治めるするよう命じられたが、母神イザナミのいる根の国を恋しがったためイザナギにより高天原(天界)を追放される。その後姉アマテラスと誓約(ウケヒ)により高天原に戻るが数々の狼藉により天岩戸事件を引き起こしたため再び追放され、出雲に行ってヤマタノオロチを退治しかの地の王となる。
 元々は出雲地方の土着神と考えられ、畿内王権の進出により記紀神話に取り込まれたものと推察される。外来神とみる説も存在する。神仏習合においては牛頭天王と同一視され、薬師如来の顕現として疫病除けの神として信仰された。祗園祭りで有名な八坂神社(祗園社)は牛頭天王としてのスサノオを祭っている。また道教/呪禁道の泰山府君とも同一視されている。

アレス
 ギリシャの軍神。性格的には殺戮と暴力の神としての側面が強い。その名アレス(Ares)は「運び去る、破壊する」の意のギリシャ語に由来するとの説があるが根拠に乏しく、実体ははっきりしない。アレス・ヒッピアス(騎馬のアレス)、アレス・エニューアリオス(好戦的なアレス)等の名で呼ばれていた。
 ゼウスとヘラの間の息子とされ、オリンポス12神の一人である。アフロディーテの愛人であり、愛欲神エロスはその関係から生まれたとされる。不和の女神エリスとは兄弟であるとする説もある。息子あるいは従者としてデイモス(恐怖)とポポス(驚愕)の二者を従える。
 元々はトラキア起源の外来神であり、野蛮な神としてギリシャでは不人気な神であったが、ローマ時代にはいるとローマの三大神の一人マルスと同一視されたため扱いは格段に上昇し、洗練された姿で描かれるようになった。