継承者

 1688年の名誉革命は、英国の憲法上重大な問題を引き起こした。先王ジェームズ2世は議会を解散したまま亡命していたのであるが、議会のみがウィリアム3世の戴冠を承認することができ、一方国王のみが新議会を招集することが可能だったのである。
 この難問は新国王の承認宣言とその承認を行う議会の招集を同時に行うという裏技で解決されたが、何となくだまされたような気がしないでもない。
 この怪しい事態を知ってか知らずか、ジャコバン党はウィリアム3世は王権を神授されていないから正当な英国王とはいえないと主張した。英国における国王病(瘰癧)の治療儀式が1712年で終わっていることを考えると、どうもウィリアム3世以後の英国王たち当人も立場の危うさに気づいてはいたようである。

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