大いなる遺産

 信心豊かなアーネスト・ディグウィード氏は死にあたって神の御子に遺産を3万ポンドほど残した。この件に関しては既に20名以上の候補者が現れているが、今のところ神の御子本人は受け取りに現れていないようである。
 ここまで崇高なものでなくとも、遺産の受取に関して何やら条件が付く例は数多い。イワン・フレミングは3人の友人にそれぞれ500ポンドを残したが、その条件は何らかの賭けで全財産を失っていること、というものであった。ハインリヒ・ハイネは後に残された者のことを考えてか、再婚することという条件で妻に全財産を残している。もっともこれは「少なくとも1人の男は自分の死を悼んでくれるだろうから」というのがその本当の理由だったらしい。
 同様に後に残された者のことを考えた例としてはニュージャージー州のメアリ・クウェリィ夫人の例が特筆に値する。彼女は夫に2ドル(!)を遺したが、その相続条件は遺産のうち半分を首吊り自殺用のロープの代金に充てること、というものであった。

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