性別と嘘とタロットカード

 ヴィクトリア時代に軍医として活躍したジェームズ・バリーという人物、40年間英国陸軍に在籍し、最後には将官にまで出世した。しかしその死後の1865年、彼(?)が女性だったことが判明した。
 1702年にニューヨークおよびニュージャージーの知事に任命されたコーンベリー卿は公式にも実際にも男性だった。ただし彼は専ら女性の服装で生活していた。
 他にもこうした倒錯(必ずしも倒錯ではないが)の事例は歴史上数多いが、興味を惹くものとしてはタロットの「女教皇」(一般的なものでは女司祭に変えられている)のモデルとなったとされる女教皇ジョーンの伝説が挙げられよう。なんでも彼女はとある英国の宣教師の娘で、恋に落ちた宣教師との付き合いを続けるために修道士に身をやつしたらしい。その後才気煥発な彼女は出世を続けて教皇ピウス4世の秘書となり、彼の死後にはとうとう教皇に選ばれた。しかし妊娠してしまった彼女は群衆の面前で赤子を生み落とし、怒り狂った彼らに撲殺されたという。なおこの伝説には続きがあって、彼女が産んだ子は実は生きており、この世の終わりに「反キリスト」として現れるそうである。

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