ザ・ライトスタッフ

 人類の科学は今や簡単に宇宙に人間を送り込むまでになったが、その影に隠された苦難と挫折を忘れてはならない。
 1960年代にザンビア共和国の宇宙開発担当大臣であったヌコロソ氏は1970年代前半までに人間を宇宙に送り込むと宣言したが、残念なことにその宣言は実現せずに終わった。宇宙飛行士候補を地球周回運動中に発生する困難にあらかじめ慣れさせるため、樽詰めにして木に吊るし激しくブランコ運動をさせたり、ドラム缶に閉じ込めて丘の上から転がり落としたりといった訓練、「月面における唯一可能な歩行方法」逆立ち歩きの特訓、といった同氏の画期的な指導にも関わらず、である。
 こうしたことから考えるに実際に宇宙に人間を飛ばしてしまっているアメリカの宇宙飛行士などは我々の想像を遙かに越えたもの凄い訓練を受けているのに違いない。他のあらゆる危険な職業を押しのけて、宇宙飛行士が保険料のチャンピオンであるという事実こそがこの推測の確たる証左と言えよう。

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