物理学者は歯が命

 偉大なるアイザック・ニュートン卿は85歳で逝去したが、最晩年になっても彼には1本もムシ歯が無かった。この偉大なる物理学者がかなりの粗忽者であったことを鑑みるに、物理学で偉大なる業績を残すにはまず健康な歯が必要なのかも知れない。もっともポーランド大公が義歯をしていためにローラ・モンテ嬢に振られてしまったという逸話をご存じの方々の中にはそちらの方面での理由を勘繰る向きもあろうが、ニュートン卿の名誉のために彼が生涯女性に関心を持たずにいたことを付け加えておこう。
 一方で政治の世界においては歯の健康は必要ないどころが有害でさえあるようだ。大統領に就任した時点でジョージ・ワシントンには自分の歯は2本しか残っていなかった。正確には義歯の上にもう1本残っていたのだが、一緒に牛やカバやセイウチの歯もついていたのでいまいち存在感が薄かった。彼が毎晩義歯をポートワインに浸しておいたのもどうもその辺が理由らしい。
 ワシントンの政治上の業績についてはとりあえず彼が世界に先駆けてaverageという単語を「平均する」という動詞として用いたことを挙げておけば十分だろう。一方ニュートン卿が国会議員在任中に行った発言で記録に残っているものは「窓を開けるように」という要求だけであった。

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