汝の敵は汝

 1855年にメキシコ行政府長官の座に就いたイグナチオ・コモンフォード氏、様々な改革を試みたが思うように進まず、その2年後には自分を首長とするメキシコ政府の施政方針に不満を抱くようになった。
 とうとう彼は不満分子を糾合して自分が率いている政権に対して反乱を起こし、見事政府の打倒に成功した。そして1858年2月、政府長官たる自分を罷免し、国外追放処分とした。
 コモンフォード氏ほど華麗ではなかったが、出版業者としてアメリカおよびイギリスで活動したジョン・ダントン氏もその立派な精神では負けていない。
 彼は『ダントン氏の人生とその誤謬』と題する本を出版して自分自身を弾劾、また今まで自分が出版した本の中から7冊を取り上げ、その出版動機は実に不純なものであると断固たる非難を展開した。

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