Saving Scientist Bohr

 1940年にデンマークはドイツ軍に占領されたが、ニールス・ボーア博士はそれでもひっそりと研究を続けていた。この著名な物理学者がナチスの手の下にあることを危惧していた連合国は1943年になって同博士の救出作戦を決行、しかし直前になってこの作戦はドイツ側に察知されてしまった。
 さて作戦の当日、裏口から脱出しようとしていたボーア博士は冷蔵庫に重水を詰めたビール瓶があるのを思い出し、取りに戻ったところちょうど表にドイツ兵がやってきた。あわやという場面だったが幸いなことにレジスタンスの活躍により間一髪で博士は脱出に成功、漁船でスウェーデンに上陸し、そこから今度は空路にてイギリスへと向かった。
 しかし今度は途中で酸素吸入器が故障、たちまちボーア博士は酸素不足で意識不明の重体となった。これに気付いたパイロットはとっさに高度を下げ、超低空飛行のおかげで何とか博士は一命を取り留めた。ちなみに到着後病院に担ぎ込まれたときもまだ例のビール瓶を握ったままだった。
 さて、運良く逃げてきたボーア博士、当然ながらロスアラモスに招かれて原爆開発に従事したが、既に計画の進度は博士の研究を遙かに陵駕しており、その存在はあまり役に立たなかった。おまけに博士が後生大事に抱えてきたビール瓶の中身は本物のビールだった。

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