敗北は誰のために

 史上最低の英国王として名高いジョン欠地王、桃の食べ過ぎと新作ビールの飲み過ぎが原因で彼にふさわしい最期を遂げたが、葬儀の際には修道士の衣服をまとってウースター大聖堂に埋葬された。何でも最後の審判の日に記録係の天使を欺くことを期待しての措置だったらしい。これに関しても生前の彼の行動と同様不様な結果に終わる可能性が高いと思われるが、とりあえずこれは結果待ちといったところであろう。
 彼の兄はさらに名高いリチャード獅子心王であるが、彼は10年の治世のうちたった6ヶ月しかイングランドに居なかった。妻のペレンガリア女王に至ってはイングランド史上唯一の不在女王だった。ジョン王があれだけ海外領土を手放した理由もこの辺に有りそうではある。しかし国王の不在による人心の離反を防ごうという彼の涙ぐましい努力も、残念ながら後世の人々には伝わらなかったようだ。

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