既知との遭遇

 ある時ロンドンの出版社がカーライルの著作を出版するためスコットランドから腕利きの植字工を招いた。その植字工、渡された原稿を一目見、頭を抱えて唸って曰く、「またこれか!こいつが嫌でロンドンに逃げてきたのに」
 カーライルはとんでもない悪筆家で、植字工たちの頭痛の種なのであった。『フランス革命史』第1巻の最初の原稿などは、J・S・ミルに貸した際に反故と間違われて女中に燃やされてしまった程である。

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